短篇集

中島みゆき( MIYUKI NAKAJIMA ) 短篇集歌詞
1.地上の星

作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき

風の中のすばる
砂の中の銀河
みんな何処へ行った 見送られることもなく
草原のペガサス
街角のヴィーナス
みんな何処へ行った 見守られることもなく

地上にある星を誰も覚えていない
人は空ばかり見てる

つばめよ高い空から教えてよ 地上の星を
つばめよ地上の星は今 何処にあるのだろう

崖の上のジュピター
水底のシリウス
みんな何処へ行った 見守られることもなく

名立たるものを追って 輝くものを追って
人は氷ばかり掴む

つばめよ高い空から教えてよ 地上の星を
つばめよ地上の星は今 何処にあるのだろう

名立たるものを追って 輝くものを追って
人は氷ばかり掴む

風の中のすばる
砂の中の銀河
みんな何処へ行った 見送られることもなく

つばめよ高い空から教えてよ 地上の星を
つばめよ地上の星は今 何処にあるのだろう


2.帰省

作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき

遠い国の客には笑われるけれど
押し合わなけりゃ街は 電車にも乗れない
まるで人のすべてが敵というように
肩を張り肘を張り 押しのけ合ってゆく

けれど年に2回 8月と1月
人ははにかんで道を譲る 故郷(ふるさと)からの帰り
束の間 人を信じたら
もう半年がんばれる

機械たちを相手に言葉は要らない
決まりきった身ぶりで街は流れてゆく
人は多くなるほど 物に見えてくる
ころんだ人をよけて 交差点(スクランブル)を渡る

※けれど年に2回 8月と1月
人は振り向いて足をとめる 故郷からの帰り
束の間 人を信じたら
もう半年がんばれる※

(※くり返し)


3.夢の通り道を僕は歩いている

作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき

夢の通り道を僕は歩いている
たった1人だけで僕は歩いている
それは必ずしも 運命のゆくえと同じとは限らず
僕は足をとめる

ゆき暮れているうちに 気配さえ見失う
どんな夢の形を僕は見ていたのだろう
夢の通り道で 僕は足をとめる

夢の通り道で僕は気弱になる
今はどのあたりに僕はいるのだろう
夢に見切りをつけ引き返したならば
回り道をせずに僕は生きるだろう だけど

月よ照らしておくれ 涙でにじまないで
僕の身の程じゃなく 夢だけを照らしてよ
夢の通り道を僕は追ってゆく

月よ照らしておくれ 涙でにじまないで
僕の身の程じゃなく 夢だけを照らしてよ
夢の通り道を僕は追ってゆく
夢の通り道を僕は追ってゆく


4.後悔

作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき

真夜中のフライトに向けて 貴方はターミナル行く頃
心をよぎる迷いもなく 行く先のことを考えている
総ては流れてゆく日々の ゆきずりの眺めだった
私の姿も街の色も 過ぎてゆく眺めだった

泣くほどの子供じゃなかった
ひきとめるほどの自信もなかった
諦めることに慣れたふりして 何を守ろうとしてみたの

どうしてどうして素直に
貴方に心を伝えなかったか 後悔してる
貴方は遠くで私を忘れる
朝が来るまでに1人に戻っている

日付変更線を越えて 貴方は戻って行ける
私と出会う前の日々へ ためらいもなく戻って行ける
大切なことはいつだって いちばん後に気がつく
心の扉にかけた鍵を 捨てられなくて気がつく

なにごともないかのように淹れるコーヒーが こぼれている
窓のサフランに これで良かったと何回言いきかせているの

どうしてどうして素直に
貴方に心を伝えなかったか 後悔してる
貴方は遠くで私を忘れる
朝が来るまでに1人に戻る

いまさらいまさら貴方に
届かぬ想いを鳥にあずけても波にあずけても
貴方は遠くで私を忘れる
朝が来るまでに1人に戻っている


5.MERRY-GO-ROUND

作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき

MERRY-GO-ROUND, MERRY-GO-ROUND 後ろ姿と涙たち
MERRY-GO-ROUND, MERRY-GO-ROUND いついつまでも

好きじゃない人から言い寄られることは
ただ気分が悪くなるだけのことね
好きじゃない人から電話もらうことも
ただ時間の無駄なだけのことね
それと同じことを私があの人にしてただけだね
悲しい事実から目をそらしても
MERRY-GO-ROUND, MERRY-GO-ROUND 後ろ姿と涙たち
MERRY-GO-ROUND, MERRY-GO-ROUND いついつまでも

MERRY-GO-ROUND, MERRY-GO-ROUND 後ろ姿と涙たち
MERRY-GO-ROUND, MERRY-GO-ROUND いついつまでも

たとえ世界じゅうがどんなに進んでも
1ミリも進まない距離がある
ほかの誰かなんて見る暇も惜しんで
焦がれ続けても報われなくて
それと同じことをあの人嘆いては誰かを想う
きれいな矛盾だね はたから見れば
MERRY-GO-ROUND, MERRY-GO-ROUND 後ろ姿と涙たち
MERRY-GO-ROUND, MERRY-GO-ROUND いついつまでも

それと同じことをあの人嘆いては誰かを想う
きれいな矛盾だね はたから見れば
MERRY-GO-ROUND, MERRY-GO-ROUND 後ろ姿と涙たち
MERRY-GO-ROUND, MERRY-GO-ROUND いついつまでも

MERRY-GO-ROUND, MERRY-GO-ROUND 後ろ姿と涙たち
MERRY-GO-ROUND, MERRY-GO-ROUND いついつまでも


6.天使の階段

作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき

眺めに行かないか 天使の階段
寒い野原を駆けて
重い雲の傷口から 金の糸がしたたり落ちる
風も雪も話しやめる
ごらん そっと天使が伝い降りる
残された迷子を呼ぶ

眺めに行かないか 天使の階段
凍る水を渡って
人が触れることはできない
人が崩すこともできない
天使だけが伝い昇る
ごらん 白い鳥が追いかけてゆく
どこまでも昇ってゆく

眺めに行かないか 天使の階段
寒い野原を駆けて


7.過ぎゆく夏

作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき

過ぎゆく夏のたわむれに
君を愛してしまおうか
みんなみんな忘れん坊たちだから
忘れてもいいよ 今日のことは

過ぎゆく夏のはかなさに
君を惜しんでしまおうか
みんなみんないい奴ばかりだったと
今だけは言ってもいいじゃないか

過ぎゆくものよ 清(すが)しきものよ
横顔だけを見せつけて
帰らぬものよ 袖振るものよ
熟さぬ酒を酌みかわせ

さみしさと愛しさを 夏はすり替える

過ぎゆく夏のまぶしさに
君を好きだと告げようか
みんなみんな幻かもしれないから
いいじゃないか 夏だったでいいじゃないか
いいじゃないか 夏だったでいいじゃないか


8.結婚

作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき

小さな男の子が もっと小さな男の子に
僕はおまえと結婚するぞと言った
男の子の母親は驚いて
それはできないことなのよとさえぎった
小さな男の子は口をとがらせ抗議した
どうして結婚できないと思うのさ

母親はふと思いあたった
もしかしておまえ 決闘と言いたいの
小さな男の子はまちがいに気がついて気をとり直して
そうだよと胸をそらした

翌日 若い母親がオフィスでその話を披露した
若くない男の社員が呟いた
同じ場合もあると
結婚と決闘
結婚と決闘
まだ若い母親は話しやめてしまった


9.粉雪は忘れ薬

作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき

忘れなけりゃならないことを
忘れながら人は生きるよ
無理して笑っても 無理してふざけても
意地悪な風 意地悪な雨
忘れさせて優しい日々を
忘れさせて楽しい人を
足音? 車の停まる音?
間違えながら待ってしまうから
粉雪は忘れ薬
すべての悲しみ消してくれるよ
粉雪は忘れ薬
すべての心の上に積もるよ

遠い町を訪ねてみても
1人きりで暮らしてみても
忘れるための無理は どこかに隙がある
よみがえる風 よみがえる雨
忘れさせて 古い約束
忘れさせて 古い口癖
覚えておこうとしないのに
何かのはずみ 思い出して泣ける
粉雪は忘れ薬
すべての心の上に積もるよ
粉雪は忘れ薬
些細なことほど効き目が悪い

粉雪は忘れ薬
寂しい心の上に積もるよ
粉雪は忘れ薬
すべての心の上に積もるよ
粉雪は忘れ薬
すべての心の上に積もるよ
すべての心の上に積もるよ


10.Tell Me,Sister

作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき

自分が嫌いだった 何もかも嫌だった
嫌うことで別の自分になれる気分になってた
低い鼻やクセの髪じゃ もしなかったら
一生はどんなにか違うわと憎んだ

時は流れ ある日突然 全て備えた彼女に会った
私にない全てを持って 「何もない」と未来を見てた

Tell Me, Sister 真似させておくれよ
Tell Me, Sister 追いつこうとしても
Tell Me, Sister そんなふうになれない
「そのままでいいのに」と彼女は微笑むだけだった

全ての男は彼女に夢中だった
全ての女さえ彼女には挑まなかった
悪口を言われない運命ってあるものね
その逆の運命が私だと思った

時は流れ ある日突然 この世にいない彼女を知った
きっとずっと全てを知って 「何もない」と未来を見てた

※Tell Me, Sister 教えておくれよ
Tell Me, Sister 恵まれたものは何?
Tell Me, Sister 何を真似ればいい?
「そのままでいいのに」と微笑みだけが残った※

(※くり返し)

Tell Me, Sister
Tell Me, Sister
微笑みだけが残った


11.ヘッドライト・テールライト

作詞:中島みゆき
作曲:中島みゆき

語り継ぐ人もなく
吹きすさぶ風の中へ
紛れ散らばる星の名は
忘れられても
ヘッドライト・テールライト 旅はまだ終わらない
ヘッドライト・テールライト 旅はまだ終わらない

足跡は 降る雨と
降る時の中へ消えて
称える歌は
英雄のために過ぎても
ヘッドライト・テールライト 旅はまだ終わらない
ヘッドライト・テールライト 旅はまだ終わらない

行く先を照らすのは
まだ咲かぬ見果てぬ夢
遥か後ろを照らすのは
あどけない夢
ヘッドライト・テールライト 旅はまだ終わらない
ヘッドライト・テールライト 旅はまだ終わらない

ヘッドライト・テールライト 旅はまだ終わらない
ヘッドライト・テールライト 旅はまだ終わらない